90冊目は中野信子さんの「シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」です。
「科学的」に人が「人が失敗したときにおきる喜びの感情」について説明しています。
「科学的」とは「測定可能」であり「統計的に偏りがある」という事です。
統計的に偏りがあるということで、絶対ではありません。
「他人の不幸は蜜の味」という言葉があります。
理性的には「そんなことはない」と我々の前頭葉は否定しますが
本能的には「喜び」を原始脳(大脳基底核や線条体、下垂体など)は感じているというのです。
その正体はオキシトシンであると。
オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれ、安心感やリラックス感を提供してくれます。
入浴中やマッサージなどでも出るようです。
鎮痛効果もあります。
痛いところをさすると痛みが弱くなる事はホルモン的にも正しいのです。
しかしこのオキシトシンは「妬み」の感情を強めるようです。
「妬み」という感情にも意味があるはずです。
人間が社会生活を営む上で、必要とされているからこそ 感じる感情です。
人間は集団で生活しており、秩序を求めます。
秩序が崩れると、所属集団が不安定になるからです。
現代は所属集団が不安定になったとしてもすぐには死に直結はしませんが
何万年、何十万年まえの古代人類にとっては集団の不安定性は死に直結します。
不安定分子を排除するという脳システムができているのです。
システムを発動するためには、肉体が行動しないといけません。
その役割がホルモンです。
ドーパミンはやる気を引き出し、人に行動を促します。
目立った人を妬み、排除するという行動をおこさせている物質の一つがオキシトシンであるというのが結論です。
オキシトシンが低いとされているサイコパスの人は妬む事をしないようです。
そして他人が失敗したとしても、喜びを感じるわけではないようです。
感情は排除し、論理的思考のみにて行動するためです。
集団を維持するという発想がありません。
愛情深いからこそ、他人を引きずり下ろす事に快感を覚えてしまうようです。
他人を引きずり下ろす事に快感を感じる人は決しておかしな感情ではなく
「愛情が深い」感情の裏返しなのだという事です。
皆さんはどうでしょうか?